2010年02月20日

「は」と「が」 (鍵本)

国語(日本語)の話です。

  昔々あるところに、おじいさんとおばあさん(  )いました。
  おじいさん(  )山へ芝刈りに、おばあさん(  )川へ洗濯に行きました。
  おばあさん(  )川で洗濯をしていると……

「この(  )に、助詞の『は』か『が』を入れなさい」という問題、日本語を母語
(普段使っている言語)とする人なら、簡単にできるでしょう。
しかし、日本語を習っている外国の人には、とっても難しい問題なのです。
そしてもし、外国の人に「なぜこっちには『は』、そっちには『が』が入るんだ?」
と聞かれても、「いや、何となく……」としか答えられないでしょう。

しかし、「は」と「が」の使い分け、一応説明はできるのです。
例えば、

   桃太郎はおばあさんが作ったきびだんごを食べました。

この文、「桃太郎は」は、最後の「食べました」にかかるものですが、「おばあさん
が」は「作った」にしかかかりません。もしこれを、

   おばあさんは作ったきびだんごを食べました。

とすると、「食べました」という動作をしたのも「おばあさん」になります。
というように、
  「は」は遠く(文末)までかかる(影響する)が、「が」はそうではない
という説明ができます。

また、

  私は山田です。
  私が山田です。

はどう違うでしょうか。一言でいうと、下の方は、「この中に山田さんという人がい
るとは聞いているけど、誰が山田さんなのか」という状況で使われる言い方です。
つまり、「山田というのはこの私だ」という「私」に重点のある言い方です。
(専門的には「聞き手にとって未知の情報に『が』が使われる」などと説明します)
だから、「桃太郎」の出だしは、「おじいさんおばあさん初登場」というわけで、
「が」なのです。

ほかにも、

  数学はよくできたんだけど……。

などということがあります。これは逆にいうと「数学以外の教科はできなかった」と
いうことを暗に示しています(失礼な例文でごめんなさい)。
こういうのを「限定・強調の『は』」などと言います。

というように、「何となく……」というものをきっちり説明できる、これが学問であ
り、科学なのです。どんなことがらでも、「無意識にやっている」ことを、一度理論
的に見てみると、新しい発見があるかもしれません。

(蛇足ですが、昔ある大学の先生が、「文学研究は科学です」とおっしゃっていたそ
うです。同じことですね……)
posted by narakousen at 06:53 | Comment(0) | 日記
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